【レビュー・要約】銃・病原菌・鉄(下)

  • 2020年6月19日
  • 2020年6月19日
  • 書籍

この記事では、<銃・病原菌・鉄(下)|ジャレド・ダイアモンド著>について要約する。

本書は、上巻で示されたパプアニューギニア人の政治家ヤリによる

「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといいえるものがほとんどない。

それはなぜだとうか?」

という疑問への最終的な結論を提示している。

つまり、下巻では、人類の人種、国、地域の栄華盛衰の原因は、いったい何なのか?

ヨーロッパ人は、なぜアメリカ大陸やオーストラリア大陸を侵略したのに、その逆ではなかったのか?

といった疑問に終止符を打ちます。

 

本書の要点

文字の誕生

文字は、情報を口頭で伝えるよりもはるかに容易に、そして正確に伝えることができる。

たとえば、船隊を派遣した君主や証人は、文書によって、命令や支持を伝えた。

また、遠征隊の記録は、後に続くものにどのような環境が待ち受けているのかを伝えた。

つまり、文字を持つ文明は、情報戦についても他の文化に対して優位にたつことができた。

 

ところで、文字が使える国と文字が使えない国があったのはなぜだろう?

まず、狩猟採取民族の中では、文字は発達しなかった。

なぜなら、文字を発明する人、文字を扱い納税記録を付ける官僚を養えるだけの食料を確保することができなかったからである。

文字を発明する人や官僚は、直接的には食糧生産を行わないのである。

狩猟採取民族の場合は、文字を使う人々を養うだけの食料の余剰を確保するのが不順文だったのである

そのため、農耕をすることで蓄えられる余剰でそれらの人を養うことができた国や民族のみが、文字を発達させることができた。

しかし、農耕文化を持つ国でも文字が発達しなかった国があるが、それはなぜだろうか?

たとえば、農耕文化を発達させていた南米のインカ帝国、18世紀後半のハワイ、赤道直下のアフリカは、なぜか文字を持たなかった。

 

文字をもつようになった社会は、それを独自に発達させたわけではなく借用してアレンジすることで、文字を作ったと思われる。

文字が独自に発達したオリジナルの文字を持つ地域は、肥沃三日月地帯、中国、メキシコなどの初期に農耕をはじめた地域である。

その他の地域では、文字をオリジナルから模倣し、アレンジすることで文字を作り出したのだ。

つまり、文字が伝わりやすい地域が多いとその分早くに文字文化を発達させることができたと言える。

文字文化の伝わりやすさは、農耕の伝わりやすさと同様に、地形や自然環境が影響した。

文字が伝わらなかった地域は、海、川、砂漠などの自然の障壁に遮られていて文字が伝わるのが遅かったのである。

そのため、農耕という条件を満たした地域でも文字を持たなかった地域が存在していた。

 

結局、文字を持つ国が侵略するのに有利であり、その文字の発達するための条件は、まずは農耕民であることである。

さらに、民の中でも早くの農耕を発達させた地域が、まずはオリジナルの文字を使えるようになり、オリジナルの文字が伝わりやすい自然環境や地形であることが早く文字を発達させるのに有利だった。

つまり、その点、アメリカ大陸、オーストラリア、アフリカ大陸よりもユーラシア大陸が有利だったために、ユーラシア大陸に存在するヨーロッパ諸国が他の大陸を侵略するに至ったと言える。

 

技術革新について

他国を侵略するには、技術を高める必要がある。

技術が高くなると、その分、強い武器を作ることができるし、戦争のための兵站の輸送も円滑に行うことができる。

その技術の成長の違いはどのように生まれたのだろうか?

技術が成長するのに欠かせないのが発明である。

世の中の必要に応じて、便利なものが発明されると思われがちだが、実は違う。

発明された後に、必要とされるのである。

自動車、飛行機、電球、蓄音機を代表とする歴史的な発明品は人間の好奇心の産物であって、はじめは何をするために、使えばよいのかわからない状態から、徐々に用途がわかってきたものばかりなのだ。

ある社会に革新的に技術が登場するのは、その社会で独自に発明されるよりも、他の社会から取り入れられる方が多い。

それは、その発明の複雑さによる。

たとえば、先ほどの項で取り上げた文字は、発明するのが難しいため、独自に発明する社会は少なく、ほとんどが伝播された文字の模倣によって生まれた技術ということが多い。

つまり、技術発展の度合いもどれだけ簡単に発明が伝播されうるかに左右されるのだ。

伝播の容易さは、受け取る側の社会がどこに位置するかという地理的要因によって異なる。

隔絶された島などは、技術の伝播が比較的に難しくなる。

また、その社会が新しい技術を受容できるかも重要な要素である。

この社会に行ける受容性の違いは、同じ大陸でもの中でも存在して、また同じ社会の中でも時代によって変わりうるものである。

受容性の違いは、多くの個別の要因に左右される。

そのため、特定の地域や民族が受容性に富んだ性質を持っていたということはない。

さらに、伝播して受容された発明をもとに、技術は自己触媒的にどんどん発達する。

つまり、新しい技術は次なるさらに新しい技術を誕生させるのである。

そういった、スタート時点でのヨーロッパをはじめとしたユーラシア大陸に国々が、技術が自己触媒的に時間経過とともに増幅された結果なのである。

スタート時点の一歩の違いが、大きな違いを生むことになったのだ。

結果的に、その技術の最初の一歩に必要なのが、技術の伝播である以上、技術革新の進歩の程度の原因も、結局は人種間の知識の優劣ではなく、環境によるものだと言える。

結論

 

「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといいえるものがほとんどない。

それはなぜだとうか?」

 

という質問に著者は、最終的に次のような結論を述べている。

人類の長い歴史が大陸ごとに異なるのは、それぞれの大陸に居住した人々が生まれつき異なっていたからではなく、それぞれの大陸ごとに環境が異なっていたからである

つまり、アボリジニーなどの最近まで原始的な生活をしていたオーストラリアの民族と、ユーラシアで生活しているヨーロッパ人を更新制後期に、そのまま入れ替えると、立場はまったく逆転していた可能性がある。

大陸ごと環境が与えた影響として特に重要なこと

まとめとして、著者が結論図けるにあたり最も重要だと考えている事項を4つあげる。

植物や動物の分布状況

栽培化に適した植物がどれほど多く分布していたか、家畜化しやすい動物がどれくらいたくさん分布していたかが、その後の大陸ごとの人々が、農業で食糧生産をできるかどうかの違いを生んだ。農業ができるようになると、余剰が生まれ、余剰により人口を増やし、食料を自分で得なくても生きていける人を養えるようになった。そして、そういった人たちは、戦うことを専門にする人、文字を使って税金を徴収することを専門にすることができた。

それが、国家の形成や、政治的な集権化することでみんなが協力に連携する組織を作り事ができて、それが他国を侵略するのに役に立った。

農業や発明の伝播のスピード

ユーラシア大陸は、東西に長い大陸である。

東西に延びた大陸は、アメリカ大陸やアフリカ大陸などの南北に伸びた大陸に比べて、気候の差が小さい。

そのため、同じ農業作物が気候の影響を受けずに、幅広い地域で栽培可能で、その伝わり方の速度も速かった。

大陸間の伝播の容易差

文明の発達にもっとも寄与した農業が早く生まれたのが、ユーラシア大陸の三日月肥沃地帯、中国などであった。

それらの地域から地理的に近い大陸が農業や発明が容易に伝播することができた。

つまり、ユーラシア地陸から距離的に離れている、オーストラリア、アメリカ大陸などは文明の発達に不利だったということである。

大陸の大きさや総人口の違い

オーストラリアやニューギニアは、相対的に陸の面積が小さい。

対して、ユーラシア大陸は、面積が広くて人口も多く、競合する社会も多かった。

面積が広くて人口が多いと、なにかを発明する人も多い。

また、競合する社会が多いと、技術を受け入れる圧力も高くなる。

なぜなら、新しい技術をどんどん取り入れていかないと、他の社会に負けてしまうのからだ。

よって、ユーラシア大陸は文明が発展するのに有利な環境だったといえる。

 

レビュー

本書では、国家間の文明の違いが単に環境の違いにあったと結論付けることで、人種間の能力の優劣を否定している。

僕も含めて我々は、自分の民族を美化する傾向にあるかもしれない。

しかし、本書を読むことで、○○人はもともと優秀な遺伝子を持っているから、経済的に豊かであるとか、○○人は能力が劣っているから現在も経済的に貧困だと考えることが無意味であることがわかる。

人種間の能力の優劣を考えることが、歴史的に見て不合理であることがわかることで、後進国や発展途上国と言われる国々が、現在の先進国がたどった道を同じように進み、先進国と同等の経済力を身に付ける可能性が高いのではないか、と考えたりもしました。

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