研究により、ぶら下がり健康法は、肩こりや腰痛に効果的であることが分かっています。さらに、効果的なぶら下がり方法も存在ます。この記事では、論文をもとに、ぶら下がり健康法についてわかりやすく解説します。
ぶら下がり健康法は、昔から実践されている健康法です。ぶら下がるだけの簡単なエクササイズなので、誰にでもできます。
もし、ぶら下がり健康法で本当に肩こりや腰痛を改善できるのであれば、日常的に実践する健康法として採用していきたいですよね。
論文には、「どれくらい効果があるのか」、「効果的なぶら下がり方法」についても記載されていました。この記事をご覧になることで、効果的なぶら下がり健康法を実践できるようになりますので、ぜひ最後までご覧ください。
- ぶら下がり健康法の効果についての研究結果と効果的なぶら下がり方
- 体を引き締めるためのぶら下がり健康器の使い方
- ぶら下がり健康器の感想、メリット、デメリット
ぶら下がり健康法で、腰痛や肩こりを楽にしていきましょう!
ぶら下がり健康法の効果についての研究
ぶら下がり健康法についての効果を実証した研究報告は存在します。ここでは、ぶら下がり健康法についての研究について2つご紹介します。
ぶら下がり健康器は肩こりや腰痛に効果があった
ぶら下がり健康法の有効性について調べた信州大学の研究論文では、肩こりや腰痛に効果があったと結論付けられています。
鉄棒運動をしている農家200戸に対して、肩こり、腰痛、その他の疲労症状が、ぶらさがり運動実施前と後でどのようにかわるか症状消失と運動の期間、1日の運動の回数との関係についてアンケート調査を取りました。
調査期間は、昭和53年9月~10月および昭和54年2月です。論文では次の3つのことが、わかりました。
1日のぶら下がり回数に応じて、効果が上がる
20~40秒のぶら下がりを1日に3~5回行ったグループは、肩こりや腰痛ともにそれぞれ改善率が52.0%、43.9%でした。
ここでの改善というのは、肩こりと腰痛の症状が消失したということです。
※便宜上、論文の中には改善率という言葉はありません。説明の便宜上、(完全消失率÷有症率)×100を改善率としています。
ぶら下がりの期間が1~2か月になると効果が実感しやすくなる
ぶら下がり健康法の肩こりに対する効果でわかったことは、次の点です。
- 1カ月未満の改善率が28.6%だった
- 1~2か月のグループは改善率が35.0%だった
そして、腰痛についての効果で分かったのは以下の点です。
- 1カ月未満の改善率が50.0%だった
- 1~2カ月のグループは改善率が63.1%になった
このことから、肩こりと腰痛ともに1カ月未満よりも1~2カ月ほどのぶら下がりの継続で、効果が大きくなることがわかります。さらに、3か月以上~1年未満のグループは、1~2か月にくらべると改善率が少し低下しているため、効果が表れるピークの期間は1~2カ月ということになります。
その他の症状にも効果あり
肩こりと腰痛の他に、首こり、目の疲れ、頭痛、腕の症状、背中、足の症状についても調査されていました。
肩こりと腰痛ほどではありませんが、その他の症状にも効果があったことを論文では報告しています。
肩こり、腰痛に効果的なぶら下がり方
論文のまとめでは、さらに検討が必要としながらも、1~2か月の期間、20~40秒のぶら下がりを1日に複数回(3~5回)することで効果があると結論付けています。
大変ではありますが、1日1~2回程度のぶら下がり健康法で効果が実感できない場合は、少なくとも1日に3~5回は続けてみましょう。
参考資料(外部リンク):ぶら下がり運動の健康づくり効果について
ぶら下がりには背骨の変形の矯正と筋肉の腰痛緩和に効果がある
日本体育大学の研究論文では、ぶら下がり健康法で、背骨の変形を矯正できたことを報告しています。
男子大学生36名、女子大生2名、農業従事者男性10名の合計48名についてぶら下がり健康法の効果を、X線撮影画像で検証しました。
その際、側弯矯正、腰椎(腰骨)の椎体間の身長、筋、筋膜、人体などの軟部組織の伸び具合などについて調べました。論文では以下のことを報告しています。
腰椎前弯に起因する椎間関節の疼痛を軽減
腰椎(腰骨)は、正常でも少し前弯(前にカーブ)していますが、そのカーブが急カーブになると反り腰により腰が痛くなります。
論文では、骨の変形が関係する腰痛に効果があったとしています。
椎間板脱出による神経根圧迫症状も軽減する
椎間板脱出とは、つまり腰椎ヘルニアのことです。腰のヘルニアにも効果があったということになります。
ヘルニアは比較的に若年層もかかりやすく、持続的なセルフケアが再発予防になります。
ぶら下がるだけで簡単なぶら下がり健康法を、ヘルニアの方にも、ぜひ試していただきたいですね。
緊張性疼痛の緩和
緊張性疼痛というのは、筋肉による腰の痛みのことです。病院で原因がはっきりしない場合、筋肉の問題の場合があります。
慢性腰痛があるのに骨には異常がないと言われた場合、その腰痛の原因が筋肉にあれば、ぶら下がり健康法が有効である可能性があるのです。
軽度脊柱側弯に有効
軽度の脊柱側弯にも有効であることがわかりました。
側弯とは、背骨が左右に蛇行するような形状になる変形です。
腰痛や肩こりの原因にもなります。
効果的なぶら下がり方
論文では、腰痛に対して効果的なぶら下がり方は、股関節135度~90度の屈曲位だとしています。
ぶら下がりをやってはいけない場合
参考資料(外部リンク):ぶらさがりが脊柱に及ぼす影響についてのX線学的検討
ぶら下がり健康器で腰痛を改善するための効果的なぶら下がり方
ここまでで解説してきた論文からもわかるように、腰痛の効果があるぶら下がり健康法をするためには、90度~135度の股関節屈曲位にする必要があります。
股関節の屈曲90~135度でぶら下がると効果的
ここでは実際に、股関節角度135度、90度、90度以上でぶら下がった場合の感想をお伝えします。
約135度の股関節屈曲位でぶら下がり効果
正確な135度ではありませんが、だいたい上の写真のような状態が135度です。
ここで一番伝えたいことは、股関節を深く135度曲げるのではなく、曲げた時点で背骨の垂直線と太もものお腹側の角度が135度になるのが股関節135度屈曲位だということです。
90度の股関節屈曲位でぶら下がり効果
90度だと上の写真のようになります。90度の方が分かりやすいですが、135度の時に比べて、股関節の筋肉をを使うので疲れやすいです。
股関節90度でのぶら下がりが可能であれば、チャレンジしてみてください。
個人的な感想ですが、股関節を少し曲げた方が、確かに腰が伸びる感覚がありました。
ぶら下がり健康法で、腰痛を楽にしたい場合は、股関節を曲げるのがおすすめです。
股関節を曲げ過ぎてぶら下がると効果がない
上の写真のように、股関節の屈曲位が90度を超えるまで曲げてしまうと、背骨の骨(腰椎)の狭小化を招き効果がなくなります。骨盤が後傾してしまい、腰が丸くなるので腰を痛めやすいです。
ぶら下がり時間は、20~40秒が肩こりや腰痛に効果的だけど・・・
研究で効果的だとされた1度のぶら下がり時間は、20~40秒でした。
とはいえ、そんなにぶら下がれない方もいらっしゃるかと思います。その場合は、まずはできる範囲の時間でいいので継続することが大切です。
肩こり腰痛のセルフケアにぶら上がり健康法はおすすめ
この記事でお伝えしたことは以下の点です。
- ぶら下がり健康法は、肩こりや腰痛に効果があるという報告があります。
- 効果を高めるには、1回20~40秒のぶら下がり時間で、1日3~5回を1~2か月間継続することです。
- 腰痛を楽にしたい場合は、股関節135度~90度屈曲位でぶら下がると良いです。
肩こりや腰痛にぶら下がり健康法は有効であることがわかりました。
ただし、短期的に少しだけ実践しても効果が薄いので、長期的に頑張る必要があります。
私は、ぶら下がり健康法とボディメイクのための筋トレ用に、「Motions」というぶら下がり健康器を一台購入しました。
値段もお手頃で、満足して使っています。もしぶら下がり健康器をお探しの場合は、参考にしてください。
ぶら下がり健康器を置くスペースがない場合は、ツッパリ式やドアかけ式の懸垂バーもありますよ。
(懸垂バーについて詳しく知りたい場合は、次の記事も参考にしてください。)
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