鍼治療を受けると、ズーンとする感覚が出る場合があります。
これは、鍼灸用語で「得気(えき・とくき)」や「響き(ひびき)」と呼ばれるものです。
この記事では、鍼治療のズーンとする感覚の正体について詳しく解説します。
さらにズーンとする感覚を調整する方法についてもお伝えするので、参考にしてください。
このページを書いた人
東 大輔(ひがし だいすけ)
熊本県熊本市出身・在住の柔道整復師、鍼灸師。
ひがし鍼灸整体院の代表を務める。
臨床歴約10年で鍼灸と整体施術により、健康に悩む人の回復をサポート。
鍼治療のズーンとする感覚とは
鍼治療をのズーンとする感覚は、指圧した際にツボに入った感覚がさらに集約されたような感覚だと思います。
治療を受けた人は、「効いた感じがする」や「気持ちいい」、「痛い」など感じ方はさまざまです。
鍼治療のズーンとする感覚の正体
鍼治療を受けた際に感じる「ズーン」とする感覚の正体は、実ははっきりとはわかっていません。
鍼灸師によって次の2パターンで見解が分かれます。
- 気を操作している
- 筋肉のこりにあたった
それぞれの見解について説明します。
気を操作している
伝統的な考え方を重んじる鍼灸師は、「ズーン」という感覚について「気を送っているため」や「気を操作しているため」と答える傾向にあります。
昔から行われてきた鍼灸は、体を流れるエネルギー気を操作する目的でツボに鍼を刺します。
気の種類にも次のようなものがあり、それぞれを鍼で操作して体調を整えるのです。
- 宗気:呼吸をしたり、全身に血を巡らすための気
- 営気:身体を栄養するための気
- 衛気:体表を流れる機で、病邪の身体への侵入を防ぐための気
- 元気:成長を促したり、生命活動を維持するための気
以上の気をコントロールする際に感じるのが「ズーン」とする感覚です。
筋肉のこりにあたった
現代医学的な考え方を持つ鍼灸師は、「ズーン」とする感覚について「鍼がこりに当たっため」とか「トリガーポイントを刺激したため」といいます。
筋肉が緊張して血行が悪くなると、限定された部位にしこりのようなものができ、それを「こり」と呼びます。
こりに鍼がふれると、「ズーン」とする感覚があります。
また、こりのなかでも痛みの元凶となるようなものをトリガーポイントと呼びます。
トリガーポイントはアメリカの医師ジャネット・トラベルやデイヴィッド・サイモンズが提唱した考え方です。
トリガーポイントポイントを刺激する鍼の刺し方を「トリガーポイント鍼」と呼びます。
トリガーポイント鍼は、圧痛点に鍼を刺して痛みの元凶となるこりを処置して、痛みを軽減させる治療です。
クリニックのなかには、トリガーポイント注射で痛みの治療を行う施設もあります。
トリガーポイント鍼については、次の記事を参考してください。
鍼のズーンとする響きが強い場合は調整できる
鍼のズーンとする感覚は調整可能です。
そのため、もし鍼のズーンとする刺激が苦手な場合は、鍼灸師にその旨を伝えるとよいでしょう。
鍼を細くしたり、浅く刺したりして鍼の刺激を調整すると、ズーンとする刺激も軽減できます。
当院でも鍼の刺激が苦手な方には、細い鍼で少数本で施術を行います。
はじめて鍼灸を受ける方も、安心してご相談ください。