慢性化してなかなか治らない肩こりは、筋肉にできたトリガーポイントが原因で生じている場合もあります。
トリガーポイントとは痛みの原因となる筋肉のこりで、こりが存在する場所以外にも痛みを感じる点が特徴です。
この記事では、肩こりの際にトリガーポイントができる位置と改善する場合のポイントを解説します。
さらに整体や鍼による肩こりへのトリガーポイント治療も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
このページを書いた人
東 大輔(ひがし だいすけ)
熊本県熊本市出身・在住の柔道整復師、鍼灸師。
ひがし鍼灸整体院の代表を務める。
臨床歴約10年で鍼灸と整体施術により、健康に悩む人の回復をサポート。
肩こりの原因となるトリガーポイントの位置
肩こりの原因となるトリガーポイントは、次の筋肉にできやすいです。
- 肩甲挙筋
- 菱形筋
- 僧帽筋
- 棘下筋
各筋肉のトリガーポイントについて解説します。
肩甲挙筋にできるトリガーポイント
出典:The Trigger Point Therapy Workbook |Clair Davies/Amber Davies
肩甲挙筋は肩甲骨を方法へ引き上げたり、首を側方に曲げたりするときに働く筋肉です。
不良姿勢でデスクワークをしたときなどは、肩甲挙筋にトリガーポイントができやすいです。
またショルダーバッグやリュックサックなどを長時間肩にかけた際も、痛みが出て肩こりを感じる場合があります。
菱形筋にできるトリガーポイント
出典:The Trigger Point Therapy Workbook |Clair Davies/Amber Davies
菱形筋にトリガーポイントができると、肩甲骨の内側にうずくような痛みを生じます。
肩甲骨を繰り返し動かすような動作を繰り返したときなどに、菱形筋にトリガーポイントのできることがあります。
たとえばボールを投げたり、ボートを漕いだりするような動きが考えられます。
僧帽筋にできるトリガーポイント
出典:The Trigger Point Therapy Workbook |Clair Davies/Amber Davies
猫背の姿勢を続けると、僧帽筋にトリガーポイントができやすいです。
上の図に示すのは、トリガーポイントの一部。
僧帽筋は上部や中部、下部にわかれ広い筋肉でもあるため、さまざまな部分にトリガーポイントができます。
僧帽筋のトリガーポイントを処置する場合は、同時に前胸部にある筋肉の柔軟性を高める点がポイントです。
棘下筋にできるトリガーポイント
出典:The Trigger Point Therapy Workbook |Clair Davies/Amber Davies
肩甲骨に張り付くように付着する棘下筋ですが、トリガーポイントができた場合は、肩甲骨だけではなく腕の前面部に痛みを感じることがあります。
また肩関節の動きが大きく制限されるため、腕を動かしづらくなることもあります。
腕を挙げると痛みがある場合などに、棘下筋のトリガーポイントを処置するとかなり楽になることも多いです。
肩こりのトリガーポイントを改善するためのポイント
肩こりを改善するためには、トリガーポイントを刺激するだけではなく、大胸筋や小胸筋などの前胸部にある筋肉の柔軟性を高めたり、僧帽筋を強化したりすることが大切です。
そうすることで、筋肉にトリガーポイントができづらくなるので、肩こりの改善された状態が長持ちしやすくなります。
肩こりのトリガーポイントをセルフケアで改善する方法
肩こりのトリガーポイントをセルフケアする場合は、前胸部のストレッチとテニスボールを使ったマッサージを同時に行うと有効です。
前胸部のストレッチ
前胸部をストレッチする場合は、壁に手をついて身体をひねるようにします。
胸の筋肉が伸びている感覚があれば、しっかりとストレッチできています。
1回を20秒ほどかけて、両側ずつを5回実践してみてください。
次の猫背矯正ストレッチには、さらに詳しく書かれているので、参考にしてください。
テニスボールの利用
テニスボールでトリガーポイントを刺激する場合は、まずは次の画像のように肩の後面にボールを当てます。
次に仰向けになり、ボールを転がしながら腕を上下に動かすとトリガーポイントを刺激しやすいでしょう。
トリガーポイントを探るようなイメージで、ボールを動かしてください。
奥に響くような刺激を感じる場合は、そこがトリガーポイントの可能性があるため、10秒程度とどめると痛みが楽になります。
セルフケアによるトリガーポイントの刺激が難しい場合は、整体や鍼でアプローチするのもおすすめです。
肩こりトリガーポイントの治療
肩こりのトリガーポイントに治療を施す場合、整体や鍼を使った方法があります。
整体によるトリガーポイント治療
整体でトリガーポイントにアプローチする場合は、まずはトリガーポイントを探し、見つけたらそこを10秒ほど押圧します。
複数のトリガーポイントに対して押圧を繰り返したら、次に筋肉をストレッチします。
肩こりの場合、前項部の筋肉が短縮したり、背中が丸くなったりして猫背の姿勢になることで、トリガーポイントが発生するパターンが多いです。
トリガーポイントの再発を予防するために、猫背姿勢を徐々に矯正していきます。
鍼を使ったトリガーポイント治療
鍼を使ってトリガーポイント治療をする場合は、整体と同じく、まずはトリガーポイントを探します。
トリガーポイントを見つけたら、そこに鍼を打ち、10~15程鍼を刺した状態にします。
鍼を刺した状態を置鍼といいます。(置鍼は「おきばり」もしくは、「ちしん」と呼びます。)
置鍼の間に固くなって肩こりのトリガーポイントが徐々に緩和。
血行も促進されて、痛みが軽くなります。
鍼の場合は、筋肉のおくにできたトリガーポイントを直接刺激できる点が特徴です。
トリガーポイント鍼については、次の記事も参考にしてください。
トリガーポイントを刺激して肩こりを改善しよう
肩の筋肉にできたトリガーポイントは、慢性的な肩こりの原因になります。
そこでトリガーポイントを刺激して、硬くなった筋肉を緩めると肩こりの改善が期待できます。
トリガーポイントへの刺激はセルフケアでも実践できるので、試してみてください。
セルフケアで肩こりを改善する場合は、トリガーポイントへの刺激と同時に、前胸部のストレッチを加える点もポイントです。
セルフケアでは肩こりが解消されない場合は、整体や鍼を利用するのもおすすめです。
当院ではトリガーポイントに対する整体と鍼の両方を行っています。
肩こりを改善したい場合は、ぜひご相談ください。