「心身一如(しんしんいちにょ)」と呼ばれる言葉をご存じでしょうか?
この言葉、東洋医学と西洋医学の両方で、健康を保つうえで大切な考え方とされています。
そのため心身一如を意識して、健康づくり取り組むとより効果的です。
この記事では、心身一如の意味と日常で実感する場面をお伝えします。
東洋医学と西洋医学における「心身一如」に対する捉え方の違いについても解説するので、ぜひ参考にしてください。
心身一如(しんしんいちにょ)とは
心身一如とは心と体は1つで、つながっているという意味を表す言葉です。
心を変えれば体が変化するし、体を変えれば心も変化します。
日本に禅を広めた道元の言葉「身心一如(しんじんいちにょ)」が始まりとする説があるとする一方、栄西が「心身一如(しんしんいちにょ)」という言葉を残したことから広まったとする説もあります。
いずれにせよ、心身一如は禅を起源とする言葉と考えられているようです。
また現代では、心身医学でも重要な概念とされています。
(参考:「心身一如」の由来を道元・栄西それぞれの出典と原典から探る)
日常で心身一如を実感する場面
日常で心身一如を実感する場面は多々あります。
たとえば、次のような場面が考えられます。
- 怒ると顔が紅潮する
- 緊張すると下痢をする
- 不安になると心臓がドキドキする
- 恥ずかしいと顔が赤くなる
- 恐怖を感じると口が渇く
現代医学でも心身症や不安症、うつなど心の病が原因で、体にさまざまな不調が現れる点は一般的にも知られています。
以上のように日常で心身一如を実感する場面は多いのですが、東洋医学と西洋医学では、心身一如の原理について大きく異なる解釈をします。
東洋医学からみた心身一如
東洋医学の考え方は、心身一如が根本にあります。
古代中国の人々は、喜怒哀楽と臓器を関連付けて考えたり、感情は気血の巡りに左右されると考えたりしました。
たとえば喜怒哀楽の感情と臓器は、次のように関連するとされています。
- 肝ー怒り
- 心ー喜び
- 脾ー思い悩み
- 肺ー悲しみ
- 腎ー恐れ
以上は一部であり、他にも感情と体に関係を示す概念が見られます。
「イライラしているときは、肝の働きに異常がある」「悲しみに暮れているときは、肺が弱っている」という解釈で治療に取り組みました。
以上の概念から、心(感情)の影響が身体にも及ぶことがわかります。
また東洋医学では、気血の過不足や流れの滞り、状態によっても感情が左右されるとしています。
たとえば肝の気が上昇した状態を肝火上炎と呼び、顔が紅潮して急にイライラする症状が特徴です。
このような場合に、上昇した気を静めるとイライラが治まると考えられます。
西洋医学からみた心身一如
西洋医学では、心身一如について自律神経を介した反応として説明されます。
感情の影響により、自律神経を介したさまざまな身体の反応が出ることを「情動」と呼びます。
情動は脳の内部にある視床下部によって引き起こされます。
ちなみに、視床下部は自律神経をコントロール働きがありますよ。
さらに視床下部は、大脳辺縁系と呼ばれる脳の部位で制御されている点も特徴です。
その大脳辺縁系には、偏桃体と呼ばれる「恐怖や不安、悲しみ、喜び」などの感情を司る器官が存在します。
つまり、大脳辺縁系にある偏桃体で発生した感情が視床下部に影響を与え、さらに自律神経を介して体にさまざまな反応が引き起こされるのです。
心身一如は、健康を保つうえで昔も今も大切な考え方
心身一如に対する捉え方は、東洋医学と西洋医学で大きく異なります。
しかし両者ともに、健康を保つ上で心身一如の考え方は重要とされています。
健康的な毎日を送る場合は、心と体の両方に優しい生活を送ることが大切ですね。