骨盤矯正は意味がなくて、次のような効果も期待できないのでしょうか?
「骨盤矯正を受けたら、腰痛に効果がある!」
「姿勢がキレイになってプロポーションがよくなる!」
「痩せられる!」
たしかに骨盤矯正の方法によっては、以上の効果を実感することが難しい場合もあります。
一方で、この記事で伝えるような骨盤矯正を実践してもらえると、効果を実感できる可能性が高まります。
骨盤矯正の効果について考えていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
柔道整復師と鍼灸師の資格を持つヒガシです。臨床歴は約10年。
数々の骨盤矯正に携わった経験から、受ける意味について解説します。
そもそも骨盤矯正とは
骨盤矯正とは、そもそもどのような施術を指すのでしょうか。
骨盤矯正について理解するためには、まずは骨盤はほとんどゆがんだり、変形したりしない点を知っておく必要があります。
骨盤自体のゆがみや変形の影響は少ない
骨盤自体はゆがんだり、変形したりすることは、ほとんどありません。
骨盤は寛骨と仙骨、尾骨からなます。ちなみに、寛骨は腸骨や恥骨、坐骨が一体化してできた骨です。
寛骨と仙骨のつなぎ目は仙腸関節と呼ばれ、骨盤唯一の関節を形成しているのです。
仙腸関節以外は、すべて結合や一体化しているので、骨盤内でゆがむ箇所があるとすれば、仙腸関節ということになります。
しかし、その仙腸関節も3~5mm程度しか動かないためレントゲンでも異常を確認できないくらいです。
そのため、見た目で分かるような体全体のゆがみには影響が少ないと考えられます。
体全体に影響を与える骨盤の状態とは
体全体に影響を与えるような骨盤のゆがみとして、骨盤の前傾や後傾、左右の傾きが考えられます。
つまり骨盤自体がゆがむというよりも、骨盤の傾きが変わることで体全体に影響を与えるのです。
骨盤が傾く理由
骨盤の傾きが変わる理由は、骨盤にくっついている筋肉のバランスが崩れたからです。
筋肉バランスの崩れは、骨盤の前後左右にくっついている筋肉が柔軟性に乏しく伸びなかったり、力が衰えて縮まなかったりしておこります。
骨盤は前後に傾いたり、ねじれたりする
たとえば、骨盤が前に傾いた場合は、骨盤の前面にある筋肉の柔軟性が乏しい可能性があります。
逆に骨盤が後方へ傾いている場合は、骨盤の前面にある筋肉の力が弱いケースや、太ももの裏側の筋肉が硬いケースが考えられます。
骨盤が前に傾くと反り腰になって、腰痛の原因にもなります。
後方に傾いた場合は、腰が丸くなって腰が痛くなることも。
さらに、筋肉の状態が左右で異なると、片方が前に傾きねじれた状態になることもあります。
骨盤がねじれると、左右の肩の高さに違いが出ることもあります。
実際は、骨盤にさまざまな筋肉がくっついているため、話はもう少し複雑です。
ここでは、骨盤のゆがみとは、骨盤の位置や傾きが正常ではないことを指し、筋肉の柔軟性や筋力に影響を受ける点を理解しておいてください。
骨盤矯正とは「骨盤を定位置に戻すこと」
以上から骨盤矯正とは、骨盤の傾きやねじれを正しい位置に戻すことをさします。
そのためにも、ストレッチで筋肉の柔軟性を高めたり、筋トレで筋力をアップさせたりする必要があるのです。
一時的な整体施術でも骨盤の傾きやねじれに変化をもたらすことはできます。
しかし、一時的な変化をもたらしても意味がありません。
継続的に自分でストレッチやトレーニングなどをして、骨盤に持続的な変化をもたらすことが大切なのです。
本当に意味のある骨盤矯正とは
本当に意味のある骨盤矯正とは、体に変化をもたらすために持続的にアプローチすること。
そのためには、日常的にストレッチやトレーニングを取り入れて、生活習慣を改善することが重要です。
体に変化をもたらすためには持続的なアプローチが必要
骨盤矯正に限らず人体に変化をもたらすためには、持続的になんらかのアプローチを続ける必要があります。
たとえば歯列矯正では、歯にブラケットと呼ばれる装具を付けて持続的に歯の位置を整えます。
またダイエットも、継続的に運動や食事制限に取り組む必要があります。
骨盤矯正も同じく、継続的に筋肉を鍛えたり、ストレッチをしたりすることで、やっと骨盤を正常な位置にキープできるのです。
効果のある骨盤矯正とは生活習慣を改善すること
効果のある骨盤矯正とは、生活習慣を改善することです。
長時間のデスクワークが終わった後は、椅子に座り続けることで固まった筋肉を伸ばして柔軟性を維持することが大切でしょう。
また運動を避けると筋肉が衰えて、筋肉を正常な位置に保てなくなります。
そこで骨盤周辺の筋肉トレをして、骨盤を支えられるような体づくりをする必要があります。
いずれも、日々取り組む必要のある運動習慣です。
骨盤矯正に意味がない場合
骨盤矯正をするために、整骨院や整体院などにいる専門家のアドバイスは大きな助けになります。
しかし、下記に該当する場合は意味がないと筆者は考えています。
- 整体院で施術を受けるだけの場合
- 音を鳴らすような施術を受ける場合
- 変化を感じられない場合
それぞれについて解説します。
整体院で施術を受けるだけの場合
筆者は、整骨院や整体院へ1週間に1~2度通う程度では、骨盤矯正は難しいと考えています。
施術を受けて数日がたつ頃には、筋肉の柔軟性が落ちているからです。
また、骨盤矯正で体を整えるためには、筋力をつける必要があります。
筋力は施術者がアプローチしてもつけられず、自分で鍛えなけらば、強くならないのです。
音を鳴らすような施術をする場合
体をねじりボキボキと音を鳴らすこと自体には、矯正の効果はないと考えられます。
骨盤にある仙腸関節は、3~5ミリしか動かないうえに外部から力を加えても音は鳴りません。
音が鳴っている箇所は、腰椎と呼ばれる腰にある骨です。
また腰椎自体も音が鳴ることで矯正されるとする証拠はありません。
ボキボキ音と骨盤矯正は関係がないことは覚えておきましょう。
変化を感じられない場合
骨盤矯正で体の状態が整うと、何らかの変化を感じるものです。
たとえば腰痛がある場合は、腰の痛みが楽になると骨盤の状態が正常に近づいて腰への負担が減っているのかもしれません。
またプロポーションが気になって骨盤矯正をしている場合は、骨盤のねじれで生じた肩の高さの左右差や骨盤の前後への傾きでできた姿勢の崩れに変化を確認することが大切です。
意味のある骨盤矯正
意味のある骨盤矯正は次にとおりです。
- 自宅でストレッチや筋トレをする
- 体の変化を管理する
- 日常の生活動作のクセを改善する
- 変化を実感できる
各項目について解説します。
自宅でストレッチや筋トレをする
自宅でストレッチや筋トレをすると、効果的な骨盤矯正ができます。
骨盤周りの筋肉をまんべんなく鍛えたり、ストレッチしたりするとよいでしょう。
一部の筋肉に偏らずに、いろいろな筋肉を伸ばしたり縮めたりすることが大切です。
整骨院や整体院などのに身体の構造や筋肉に詳しい専門家に指導を受けると、より効率的に骨盤矯正ができるでしょう。
体の変化を管理する
骨盤矯正をする場合、体の変化を管理するとより効果的です。
体の変化していることを実感すると、ストレッチや筋トレへのモチベーションを維持でき、継続して骨盤矯正に取り組めます。
最近はスマホで手軽に写真が撮影できるため、体の前後左右の状態を定期的に撮影すると身体の変化を管理できます。
また体に痛い箇所があれば、それを記録しておくと身体の変化を実感しやすいです。
筆者も体の変化を管理してみました。
日常の生活動作のクセを改善する
日常の動作にクセがあれば、それを改善すると骨盤矯正で体の状態が整いやすいです。
筋肉は同じ姿勢を続けたり、同じ動作を続けたりすると、その状態を形状記憶してしまい身体の状態も変形します。
たとえば骨盤状態のバランスを崩す日常生活のクセとして、足を組むことが考えられます。
足を組んだ状態は、上半身のねじれや骨盤の回転などをキープした状態です。
足を組んだ後はストレッチや筋トレでリセットする考え方もありますが、しない方が骨盤矯正の成功も容易でしょう。
持続的な変化を実感できる
骨盤矯正中には持続的に変化を実感できることが大切です。
たとえば腰痛を楽にするために、整骨院や整体院の骨盤矯正に通っているとします。
施術を受けるだけの場合だと、施術を受けた日は腰痛が楽になり姿勢が整っても、2~3日後にはもとに戻る可能性があります。
人間の身体は一時的な変化を産み出すことは容易なのですが、それを継続させることが難しいのです。
持続的な変化を実感するためには、自宅でもストレッチやトレーニングに取り組んで、生活習慣を改善させる必要があります。
骨盤矯正でダイエットは嘘?どれくらいで痩せる?
昨今は骨盤矯正ダイエットと呼ばれるものが流行っています。そのため、骨盤矯正でダイエットをしようと考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、骨盤矯正ダイエットをしてもまったく効果がなかったとの声も聞かれます。
さらに、もし痩せるのであれば、どのくらいで痩せるのかも気になるところです。
骨盤矯正自体にダイエット効果はない
筆者は骨盤矯正自体にはダイエット効果はないと考えています。
世の中には骨盤矯正を受けると、代謝が上がったり、リンパの流れがよくなったりしてダイエットできるという主張があります。
しかし、おそらくは骨盤矯正で代謝やリンパが改善されたとする科学的な根拠は存在しないでしょう。
骨盤矯正の過程で痩せる
しかし骨盤矯正を自分で生活習慣を改善しようとする方向にシフトすると痩せる効果が期待できます。
つまり、私がこれまでに話してきたように、筋肉トレを骨盤矯正に取り入れるのであれば、痩せる効果は期待できるのではないでしょうか。
厚生労働省が公開しているe-ヘルスネットによると、人体における各組織の基礎代謝は次のとおりです。
参考:「加齢とエネルギー代謝|厚生労働省 e-ヘルスネット」をもとに作図
骨格筋とは我々の身体を動かすための筋肉のことを指します。
つまり骨盤矯正を目的として筋肉トレに励むと、筋肉の量を増やすことができ、基礎代謝を高められると考えられます。
ちなみに、脂肪1kgあたりの基礎代謝は1日に4.5kcalですが、筋肉1kgあたりの基礎代謝は1日に13kcalです。
筋トレで脂肪を減らし、筋肉を増やして骨盤矯正をすると、基礎代謝がアップして痩せやすい体質になるといえます。
骨盤矯正はどれくらいで痩せられる?
骨盤矯正で痩せるためには、まずは筋トレをする必要があります。
そして筋トレによるダイエット効果を実感するのは、2ヶ月後くらいからといわれています。
さらに痩せるまでの期間を短縮させるためには、食事制限を取り入れたほうがなお効率的でしょう。
痩せるまでの期間は、消費カロリーと摂取カロリーの差できまります。
基礎代謝も含めた消費カロリーが摂取カロリーを上回った値が大きいほど、痩せるまでの期間が短くなると考えられます。
自分でも生活習慣を改善して骨盤矯正をしよう
本当に骨盤矯正をしたい場合は、自分でも生活習慣を改善する必要があります。
整体院や整骨院の施術は骨盤矯正のためのサポート程度に考え、自宅で体を動かす習慣を身に付けることが大切です。
股関節をストレッチしたり、筋トレしたりして骨盤を正常な位置に戻せるようにしていきましょう。