骨盤矯正は意味がなくて、次のような効果も期待できないのでしょうか?
「骨盤矯正を受けたら、腰痛に効果がある!」
「姿勢がキレイになってプロポーションがよくなる!」
「痩せられる!」
たしかに骨盤矯正の方法によっては、以上の効果を実感することが難しい場合もあります。
一方で、この記事で伝えるような骨盤矯正を実践してもらえると、効果を実感できる可能性が高まります。
骨盤矯正の効果について考えていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
このページを書いた人
東 大輔(ひがし だいすけ)
熊本県熊本市出身・在住の柔道整復師、鍼灸師。
ひがし鍼灸整体院の代表を務める。
臨床歴約10年で鍼灸と整体施術により、健康に悩む人の回復をサポート。
200名に骨盤矯正の効果について尋ねたアンケート調査の結果
- アンケートの実施期間:2023年6月13~14日
- アンケートへの回答者数:200名
- アンケートの実施方法:クラウドソーシングサイト「ランサーズ」を使ってアンケートを実施
アンケートへの回答者の内訳
200名のアンケート回答者の内訳は次のとおりです。
男女比
年齢の構成比
骨盤矯正を受けた経験の有無について
骨盤矯正を受けたことがあると答えた人への質問
骨盤矯正を受けたことがある人に対しては次のような質問をしました。
- 骨盤矯正の効果はありましたか?
- 何回、施術を受けて効果を実感しましたか?
- 骨盤矯正に総額でいくら使いましたか?
- なんのために骨盤矯正を受けましたか?
各質問に対する回答の結果を紹介します。
骨盤矯正を受けたあとの効果の有無について
6割の人が効果を実感しているので、骨盤矯正には一定の効果を期待してもよいといえるでしょう。
骨盤矯正の効果を実感するまでの施術回数
半数以上が5回以内に効果を実感しています。
そのため効果を実感するまでの回数は、5回を目安にするといいのかもしれません。
骨盤矯正に使った費用の総額
骨盤矯正に使った金額は、半数以上の人が5万円以内と答えています。
骨盤矯正を受ける場合は、総額で5万円以内を相場と考えるとよいでしょう。
骨盤矯正を受けた目的
骨盤矯正を受ける目的は、姿勢の改善と腰痛や肩こりの改善が同数で最も多い結果となりました。
骨盤矯正を受けた経験がない人に対する質問
骨盤矯正を受けた経験がない人に対しては、次の質問をしました。
- なぜ受けたことがないのですか?
- 今後、骨盤矯正を受ける予定はありますか?
それぞれの回答結果を紹介します。
骨盤矯正を受けない理由
骨盤矯正を受けない理由は、「高額だから」という回答が最も多い結果でした。
骨盤矯正は整骨院でも保険適用外なので、高額になりやすい傾向にあります。
今後、骨盤矯正を受ける予定
これまで骨盤矯正を受けていない人は、将来的にも骨盤矯正を受ける予定がないことがわかりました。
骨盤矯正はうさんくさい?意味がないといわれる理由
医学的に骨盤は、ほとんど動かないといわれています。
そのため、骨盤矯正には意味がないといわれることがあるようです。
骨盤はゆがまないから
骨盤自体はゆがんだり、変形したりすることは、ほとんどないといわれています。
骨盤は寛骨と仙骨、尾骨からなります。ちなみに、寛骨は腸骨や恥骨、坐骨が一体化してできた骨です。
寛骨と仙骨のつなぎ目は仙腸関節と呼ばれ、骨盤唯一の関節を形成しているのです。
仙腸関節以外は、すべて結合や一体化しているので、骨盤内でゆがむ箇所があるとすれば、仙腸関節ということになります。
しかし、その仙腸関節も3~5mm程度しか動かないためレントゲンでも異常を確認できないくらいです。(参考:仙腸関節研究会|JCHO仙台病院 整形外科 腰痛・仙腸関節センター)
そのため、見た目で分かるような体全体のゆがみには影響が少ないと考えられます。
骨盤矯正には意味がある理由
骨盤がゆがまないため、骨盤矯正には意味がないのかもしれません。
しかし骨盤は傾くことがあります。その傾きを正常な位置に戻す観点から考えると、骨盤矯正には意味があるのではないでしょうか。
骨盤の前後左右の傾きは体全体の姿勢やバランスに影響します。
つまり骨盤自体がゆがむというよりも、骨盤の傾きが変わることで体全体に影響を与えるのです。
この骨盤の傾きを定位置に戻すことが骨盤矯正と考えてはいかがでしょうか。
骨盤の傾きとは
骨盤は前後左右に傾いたり、ねじれたりします。
その影響は筋肉のバランスの崩れによるものだと考えられるのです。
ここでは、骨盤が傾く理由と傾き方について解説します。
骨盤が傾く理由
骨盤の傾きが変わる理由は、骨盤に付着している筋肉のバランスが崩れたからです。
以下に示すように骨盤には、さまざまな筋肉が付着しています。
他にも腹部の筋肉や太もも裏側の筋肉、おしりの筋肉などさまざまな筋肉が付着。
それぞれの筋肉がバランスよく働き骨盤を定位置に収めていれば、骨盤は傾きません。
しかし、骨盤の前後左右にくっついている筋肉が柔軟性に乏しく伸びなかったり、力が衰えて縮まなかったりしてバランスが崩れると、骨盤が傾きます。
骨盤の傾き方
たとえば、骨盤が前に傾いた場合は、骨盤の前面にある筋肉の柔軟性が乏しい可能性があります。
逆に骨盤が後方へ傾いている場合は、骨盤の前面にある筋肉の力が弱いケースや、太ももの裏側の筋肉が硬いケースが考えられます。
骨盤が前に傾くと反り腰になって、腰痛の原因にもなります。
後方に傾いた場合は、腰が丸くなって腰が痛くなることも。
さらに、筋肉のバランスが左右で異なると、片方が前に傾きねじれた状態になることもあります。
骨盤がねじれると、左右の肩の高さに違いが出ることもあります。
実際は、骨盤にさまざまな筋肉がくっついているため、話はもう少し複雑です。
ここでは、次の点を理解しておくとよいでしょう。
- 骨盤のゆがみとは、骨盤の位置や傾きが正常ではない状態を指す
- 骨盤の位置や傾きは筋肉の柔軟性や力に影響を受ける
骨盤矯正とは「骨盤を定位置に戻すこと」
以上から骨盤矯正とは、骨盤の傾きやねじれを正しい位置に戻すことと考えられます。
そのためにも、ストレッチで筋肉の柔軟性を高めたり、筋トレで筋力をアップさせたりする必要があるのです。
では意味のある骨盤矯正とは、どのようなものでしょうか?
効果のある骨盤矯正とは
一時的な整体施術でも骨盤の傾きやねじれは変化しますが、それでは意味がありません。
効果のある骨盤矯正にするためのポイントは次のとおりです。
- 持続的にアプローチすること
- 生活習慣を改善すること
持続的にアプローチすること
骨盤矯正に限らず人体に変化をもたらすためには、持続的になんらかのアプローチを続ける必要があります。
たとえば歯列矯正では、歯にブラケットと呼ばれる装具を付けて持続的に歯の位置を整えます。
またダイエットも、継続的に運動や食事制限に取り組む必要があります。
骨盤矯正も同じく、継続的に筋肉を鍛えたり、ストレッチをしたりすることで、やっと骨盤を正常な位置にキープできるのです。
地道な努力が骨盤矯正につながりますよ。
生活習慣を改善すること
効果のある骨盤矯正とは、生活習慣を改善することです。
長時間のデスクワークが終わった後は、椅子に座り続けることで固まった筋肉を伸ばして柔軟性を維持することが大切でしょう。
また運動を避けると筋肉が衰えて、筋肉を正常な位置に保てなくなります。
そこで骨盤周辺の筋肉トレをして、骨盤を支えられるような体づくりをする必要があります。
いずれも、日々取り組む必要のある運動習慣です。
効果のない骨盤矯正とは
効果のない骨盤矯正とは、整体院で施術を受けるのみで済ませている場合と考えられます。
体に変化をもたらすためには、持続的なアプローチが欠かせません。
整体院で施術を受けるだけではなく、自宅でもストレッチやトレーニングをすることが大切です。
とはいえ、もし自宅で骨盤矯正をすれば済むのであれば、整骨院や整体院に通う意味がないかのように感じられます。
しかし、そうではありません。
整骨院や整体院などにいる専門家のアドバイスや検査は大きな助けになりますよ。
骨盤矯正のために整体院や整骨院に通う意味
骨盤矯正のために整体院や整骨院に通う意味は次のとおりです。
- リラックスした状態でストレッチができる
- アドバイスをもらえる
- 変化を実感できる
それぞれについて解説します。
意味のある骨盤矯正
意味のある骨盤矯正は次にとおりです。
- 自宅でストレッチや筋トレをする
- 体の変化を管理する
- 日常の生活動作のクセを改善する
- 変化を実感できる
各項目について解説します。
自宅でストレッチや筋トレをする
自宅でストレッチや筋トレをすると、効果的な骨盤矯正ができます。
骨盤周りの筋肉をまんべんなく鍛えたり、ストレッチしたりするとよいでしょう。
一部の筋肉に偏らずに、いろいろな筋肉を伸ばしたり縮めたりすることが大切です。
整骨院や整体院などのに身体の構造や筋肉に詳しい専門家に指導を受けると、より効率的に骨盤矯正ができるでしょう。
体の変化を管理する
骨盤矯正をする場合、体の変化を管理するとより効果的です。
体の変化していることを実感すると、ストレッチや筋トレへのモチベーションを維持でき、継続して骨盤矯正に取り組めます。
最近はスマホで手軽に写真が撮影できるため、体の前後左右の状態を定期的に撮影すると身体の変化を管理できます。
また体に痛い箇所があれば、それを記録しておくと身体の変化を実感しやすいです。
筆者も体の変化を管理してみました。
日常の生活動作のクセを改善する
日常の動作にクセがあれば、それを改善すると骨盤矯正で体の状態が整いやすいです。
筋肉は同じ姿勢を続けたり、同じ動作を続けたりすると、その状態を形状記憶してしまい身体の状態も変形します。
たとえば骨盤状態のバランスを崩す日常生活のクセとして、足を組むことが考えられます。
足を組んだ状態は、上半身のねじれや骨盤の回転などをキープした状態です。
足を組んだ後はストレッチや筋トレでリセットする考え方もありますが、しない方が骨盤矯正の成功も容易でしょう。
持続的な変化を実感できる
骨盤矯正中には持続的に変化を実感できることが大切です。
たとえば腰痛を楽にするために、整骨院や整体院の骨盤矯正に通っているとします。
施術を受けるだけの場合だと、施術を受けた日は腰痛が楽になり姿勢が整っても、2~3日後にはもとに戻る可能性があります。
人間の身体は一時的な変化を産み出すことは容易なのですが、それを継続させることが難しいのです。
持続的な変化を実感するためには、自宅でもストレッチやトレーニングに取り組んで、生活習慣を改善させる必要があります。
骨盤矯正でダイエットは嘘?どれくらいで痩せる?
昨今は骨盤矯正ダイエットと呼ばれるものが流行っています。そのため、骨盤矯正でダイエットをしようと考える方も多いのではないでしょうか。
しかし、骨盤矯正ダイエットをしてもまったく効果がなかったとの声も聞かれます。
さらに、もし痩せるのであれば、どのくらいで痩せるのかも気になるところです。
骨盤矯正自体にダイエット効果はない
筆者は骨盤矯正自体にはダイエット効果はないと考えています。
世の中には骨盤矯正を受けると、代謝が上がったり、リンパの流れがよくなったりしてダイエットできるという主張があります。
しかし、おそらくは骨盤矯正で代謝やリンパが改善されたとする科学的な根拠は存在しないでしょう。
骨盤矯正という医学用語が存在しないことからも、代謝やリンパ改善への効果には疑問があります。
骨盤矯正の過程で痩せる
しかし骨盤矯正を実践しながら、自分で生活習慣を改善しようとすると、痩せる効果が期待できます。
つまり、私がこれまでに話してきたように、自宅でも骨盤矯正を実践するのであれば、痩せる効果が期待できるのではないでしょうか。
とくに骨盤矯正に筋トレを取り入れることは大切と考えられますが、それは人体における基礎代謝の割合からもわかります。
厚生労働省が公開しているe-ヘルスネットによると、人体における各組織の基礎代謝は次のとおりです。
参考:「加齢とエネルギー代謝|厚生労働省 e-ヘルスネット」をもとに作図
骨格筋とは我々の身体を動かすための筋肉のことを指します。
グラフを見ると骨格筋が人体の基礎代謝の5分の1を支えていることが分かりますね。
つまり骨盤矯正を目的として筋肉トレに励むと、筋肉の量を増やすことができ、基礎代謝を高められると考えられます。
ちなみに、脂肪1kgあたりの基礎代謝は1日に4.5kcalですが、筋肉1kgあたりの基礎代謝は1日に13kcalです。
脂肪と筋肉では基礎代謝に3倍の違いがあるのですね。
筋トレで脂肪を減らし、筋肉を増やして骨盤矯正をすると、基礎代謝がアップして痩せやすい体質になるといえます。
骨盤矯正はどれくらいで痩せられる?
骨盤矯正で痩せるためには、まずは筋トレをする必要があります。
そして筋トレによるダイエット効果を実感するのは、2ヶ月後くらいからといわれています。
さらに痩せるまでの期間を短縮させるためには、食事制限を取り入れたほうがなお効率的でしょう。
痩せるまでの期間は、消費カロリーと摂取カロリーの差できまります。
基礎代謝も含めた消費カロリーが摂取カロリーを上回った値が大きいほど、痩せるまでの期間が短くなると考えられます。
自分でも生活習慣を改善して骨盤矯正をしよう
本当に骨盤矯正をしたい場合は、自分でも生活習慣を改善する必要があります。
整体院や整骨院の施術は骨盤矯正のためのサポート程度に考え、自宅で体を動かす習慣を身に付けることが大切です。
股関節をストレッチしたり、筋トレしたりして骨盤を正常な位置に戻せるようにしていきましょう。