胸鎖乳突筋が緊張すると、首の痛みだけではなく、頭痛につながることもあります。
さらに自律神経が乱れて耳鳴りやめまいなどの不調に悩まされることもあるので、注意が必要です。
この記事では、胸鎖乳突筋の位置や緊張でおこる痛み、緊張をほぐす方法について解説します。
胸鎖乳突筋の緊張による痛みで悩まされている場合は、ぜひ参考にしてください。
このページを書いた人
東 大輔(ひがし だいすけ)
熊本県熊本市出身・在住の柔道整復師、鍼灸師。
ひがし鍼灸整体院の代表を務める。
臨床歴約10年で鍼灸と整体施術により、健康に悩む人の回復をサポート。
胸鎖乳突筋とは
胸鎖乳突筋について、位置や作用を解説します。
位置
出展:ビジブル・ボディの提供による画像
胸鎖乳突筋は名前のとおり、胸骨と鎖骨、乳様突起をつなぐ位置にある筋肉です。
乳様突起は後頭部にある骨の一部で、胸骨は胸の前面に、さらに鎖骨は胸骨と肩甲骨をつないでいます。
作用
胸鎖乳突筋の作用は、首を回旋して頭の向きを変えることです。
首を回して振り向く動作をしたり、頭を前後に傾けたりします。
また体を動かす際には、頭を支えて安定させる働きもあるため、常に緊張する筋肉であるといえます。
そのため胸鎖乳突筋にかかる負担は大きく、過度に緊張することで首の痛みや頭痛につながります。
胸鎖乳突筋の緊張でおこる首の痛み
胸鎖乳突筋が緊張すると、痛みで首を動かせなくなることがあります。
とくに寝違えて、朝から首が痛い場合は、胸鎖乳突筋の緊張が原因の場合も多いです。
胸鎖乳突筋が緊張した場合は、そこ自体に痛みを感じるというよりも、首全体の痛みとして感じます。
胸鎖乳突筋のトリガーポイントでおこる頭痛
胸鎖乳突筋にトリガーポイントができると頭痛が起こる場合があります。
トリガーポイントとは痛みの引き金となる筋肉のコリです。
原因部位とは異なるところが痛くなる「関連痛」と呼ばれる症状の起こる点が特徴です。
胸鎖乳突筋は胸骨頭と鎖骨頭にわかれていて、どちらの部位にトリガーポイントができたのかによって、頭痛の位置も変わります。
胸骨頭のトリガーポイント
出典:THE MUSCLE&BONE PLPATION MANUAL|Joseph E.Muscolino
胸骨頭にトリガーポイントができると、目の周辺に痛みを感じます。
さらに側頭部やこめかにも痛みを感じる点が特徴です。
鎖骨頭のトリガーポイント
出典:THE MUSCLE&BONE PLPATION MANUAL|Joseph E.Muscolino
鎖骨頭にトリガーポイントができると、前頭部や額にお痛みを感じます。
また後頭部付近に痛みを感じることがあります。
胸鎖乳突筋の緊張でおこる頭痛以外の症状
胸鎖乳突筋が緊張すると、自律神経の乱れにもつながるため、首の痛みや頭痛以外の症状を伴うことがあります。
たとえば、耳鳴りやめまいなどの症状につながることもあるため注意が必要です。
長時間のデスクワークをしたり、高過ぎる枕で眠ったりすると胸鎖乳突筋の緊張につながります。
次に胸鎖乳突筋の緊張する原因について詳しく解説します。
胸鎖乳突筋が緊張する原因
胸鎖乳突筋が緊張する原因は、次のとおりです。
- デスクワーク時の不良姿勢
- 高過ぎるまくらの使用
- 突発的な衝撃
以上の他にも原因があるので、詳しく解説します。
デスクワーク時の不良姿勢
デスクワークの際に猫背になると、頭を前方に突き出した姿勢になり、胸鎖乳突筋に負担がかかります。
またスマホをのぞき込む姿勢も頭を前方に突き出した格好になるため、長時間続けないことが大切です。
胸鎖乳突筋を緊張させないためにも、スマホ使用時は態勢をこまめに変えることをおすすめします。
次の記事でも、首への負担を減らすスマホの使い方について解説しているので、参考にしてください。
高過ぎる枕の使用
高過ぎる枕を使うと、仰向けで眠った際に常に首を前に曲げた状態になるため胸鎖乳突筋の緊張につながります。
首への負担がないように枕を適度な高さに調節しましょう。
寝違いを繰り返すような場合も、枕の高さをチェックしてみてください。
突発的な衝撃
事故や転倒などの突発な衝撃が体に加わると、頭部が急激に動いた衝撃で胸鎖乳突筋が緊張します。
衝撃による胸鎖乳突筋の緊張は、交通事故などでむち打ちになった際に、めまいや吐き気、耳鳴り、頭痛などが現れる原因の1つになります。
その他
他にも、上を向いた状態を続けたり、デスクワークなどで同じ姿勢を継続したりするのも胸鎖乳突筋の緊張につながります。
特殊な事例として、慢性的な咳が長期間続いて、胸鎖乳突筋が緊張することもあります。
胸鎖乳突筋の緊張による痛みへの対処法
胸鎖乳突筋が緊張して首の痛みや頭痛に困っている場合、次の対処法を実践してみてください。
- ストレッチをする
- マッサージをする
- ツボ押しをする
- 温める
自分に合った方法を実践してみてください。
ストレッチをする
胸鎖乳突筋をストレッチする場合は、次の手順で行ってください。
ストレッチの手順(左側)
- 首を右に回す(回旋させる)
- 首を右に回したまま、右に傾ける
- 首を傾けたまま10~20秒キープする
マッサージをする
胸鎖乳突筋をマッサージする場合は、親指と人差し指、中指を使ってつまむように上から下に向けてマッサージするとよいです。
位置が分かりづらい場合は、反対側を向いて首を前に曲げると胸鎖乳突筋が浮き出てきます。
たとえば左側をマッサージしたい場合は、右を振り向いてその状態のまま首を前に倒すと、左側の胸鎖乳突筋が浮き出てきます。
ツボ押しをする
ツボ押しで胸鎖乳突筋の緊張をほぐす場合は、「完骨」と呼ばれるツボを指圧するとよいでしょう。
完骨の位置は、乳様突起の後方から少し下です。
次のように、親指で押すと刺激しやすいです。
温める
胸鎖乳突筋の上から下まで、まんべんなく温めると緊張がほぐれます。
簡単な温め方は、ドライヤーを胸鎖乳突筋に当てる方法です。
入浴中に首までつかるようにしたり、蒸しタオルを首に当てたりするのもよいでしょう。
胸鎖乳突筋をほぐして首や頭の痛みを改善しよう
胸鎖乳突筋が緊張すると、首の痛みや頭痛が起こることがあります。
原因不明の首や頭の痛みで悩まされている場合は、胸鎖乳突筋が原因の可能性があります。
今回は、胸鎖乳突筋の緊張をほぐす方法について解説したので、ぜひ実践してみてください。